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『虚妄の帝国の終焉』
著:アレック・クライン
訳:清川幸美/服部千佳子
発行:Discover
2000年1月、AOLはタイムワーナーとの合併を発表した。
世界最大のメディア企業の誕生である。
新旧メディアの合併は「世紀の取引」「史上最大の合併」と新聞の紙面を飾った。
だが、この取引はわずか2年後に別の意味で紙面をにぎわすことになる。
「ワシントン・ポスト」紙の記者アレック・クラインが、
数百ページにも及ぶ機密書類を発掘し、合併の背景に迫ったからである。
彼の報道をきっかけに司法省と証券取引委員会が調査に着手、
「世紀の合併」は一転して「米国企業史上最悪の取引」と揶揄されるに至った。
本著は世界第1位のインターネット企業として、ネット革命を先導したAOLの栄光と挫折を克明に描いたものである。
(冒頭より)
インターネットの発展とともに出現し、
拡大、そして崩壊、タイムワーナーの一部門となるまでの姿を描いた作品。
その激動の内部が詳しく描写されています。
タイトルに「虚妄の帝国」とつけられていますが、
その発展は決して虚妄ではありませんでした。
もちろん時流にも乗った過大な評価はありましたが。
この手のIT黎明期の著書には必ずといっていいほど出てくるビル・ゲイツですが、
マイクロソフトの戦略の問題もあるとはいえ、彼に打ち負かされず勝ち残った例は数少ないのではないでしょうか。
企業としての安定を求めてタイムワーナーとの合併を模索するのも、戦略として当然ともいえますが、
やはり本作のキモは、「BA部門」の記述にあると思います。
まさに「虚妄」の真実の部分であり、
AOLがなぜ崩壊したか、という理由でもあります。
ストックオプションが負の効果を表す典型的な例でもありますが。
原著は2003年発行ですが、日本語版は2006年発行。
これは宣伝文句にもあるように、ライブドア事件を意識してのものですが、
確かに構図としてはよく似ています。
両者を崩壊させたのは、自らの焦りと欲だったということでしょうか。
2008/11/01