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『バフェットの株主総会』
著:ジェフ・マシューズ
訳:黒輪篤嗣
発行:エクスナレッジ
ロサンゼルスの株主が尋ねたのは"ベータ"について。
ベータとは、資産運用の専門家のあいだで、投資案件のリスクを見積もるために広く用いられている、変動率(ボラティリティ)の尺度だ。
その理論では、株式のベータ値が高いほど、そのリスクは高いとされる。
例えば、グーグル株は値動きが激しいので高ベータとなり、
バークシャー株は値動きが小さいので低ベータとなる。
高ベータであろうと、低ベータであろうと、バフェットはそれらの指標を信じない。
「ベータは数学的にはよくできています。
しかし、誤った指標です。リスクを計算することはできません」
いつものように農場の価格にたとえて説明する。
(中略)
「変動率という概念は、学校で教える人たちには、都合がいいでしょう」
バフェットもマンガーも、この日は頻繁に、学者を揶揄した。
「しかし、わたしたちの役には立ちません」
「リスクは、事業の性質から生まれるものです。単純に経営の問題です。
自分のしていることを理解していないとき、リスクは生まれます」
そして強調する。
「どういう人間が、どういう事業を営んでいるのかを理解すれば、それほど多くのリスクはありません」
(P156〜P157より)
全世界から3万人が集まるというバークシャー・ハサウェイの株主総会。
本著は、その2007年、2008年の総会に参加し、その模様を中心にバフェットやバークシャーについて書かれたものです。
バフェットに関する本は山ほど出ていますが、
本著は、「現在の」バフェットについて、というのが大きな特徴。
バフェットの手法や功績については広く知れ渡っているところですが、
現在のバフェットやバークシャーがどんな様子なのか、というのは意外と知られていないところかもしれません。
あと、もうひとつの大きな特徴として、
本著が「礼賛一辺倒ではない」というところが挙げられます。
バフェットが現在、あるいはこれまでに抱えてきた矛盾、
これから解決していかなければいけない問題などが提起されています。
世界に名を馳せる企業でありながら、その性質上、バフェットという「個人」に依存したバークシャー。
本著で指摘されている傘下企業の経営方針等についても、
近い将来、大きな動きがあるかもしれません。
この日質問をした株主は、
バークシャー・ハサウェイの76社より、ウォーレン・バフェットに興味があったようだ。
だとすると彼らは、20年前、
バークシャー・ハサウェイの非保険部門の中核をなしていたのがどの7社であったかは、きっと知らないだろう。
(中略)
1987年、前述のようにバフェットはこれらの7社を"7聖人"と名づけた。
1年後、7社はすばらしい利益を挙げ、バフェットは得意げに次のように書いた。
「1988年、聖者の行進がわが社にやって来ました」
1989年のボーシャイムスの買収後、
バフェットは「この聖人の集まり」を「7聖人プラスワン」と変更した。
しかしバフェットが書簡のなかでこれらの会社を1グループとして取り上げたのは、このときが最後となった。
それはひとつには、バフェットが何十億ドルという値段の大会社を買うなかで、
それらの会社の影が薄くなったからだ。
しかし最大の理由は、単純にそれらの会社が衰退したからにほかならない。
7社のうち、今も十分な利益を上げていて、
バークシャーの財務報告書の「マネジメント・ディスカッション」のなかで言及されているのは、シーズキャンディーズだけだ。
ワールド・ブック・エンサイクロペディアはほぼ完全に消えてしまっている。
シーズキャンディーズを除けば、"7聖人"はもう何年も前から、"聖者の行進"をしていない。
(後略)
(P344〜P345より)
2009/04/02